今月号は各紙新人賞の結果発表でにぎわっている。北条氏の作品を取りあげた際にも書いたが、昨年度の芥川賞157回158回は通算3作の受賞作が出て、全て文芸誌主催の公募型新人賞の受賞作であったという豊作(あるいは不作)であったのだ。流れと言うのは案外無視できない力を持っており、実際北条氏の群像新人賞受賞作も一定の力量を評価する声はあった。それ以外の要素で芥川賞には圧倒的にふさわしくないと判断されてしまったようだが。
そんなわけで今月号の文芸誌各紙は芥川賞も視野に入れた、というかビンビンに意識したうえで新人賞を発表しているのではなかろうか。特に今回取り上げる『新潮』は狙っているに違いない。180枚。繰り返すまでもない。芥川賞ドンピシャである。
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