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2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

第164回芥川賞① 候補作予想「ババヤガの夜」王谷晶(『文藝』2020秋季号)

とんでもなく切実なテーマを孕んでいながら、それと気づかずに読まされてしまう。文藝 2020年秋季号発売日: 2020/07/07メディア: 雑誌王谷晶さんの「ババヤガの夜」である。 これから読む人に簡単に言うと、これはとんでもなく読んでいて面白い作品です。じ…

後味爽やか、だが、それだけでは終わらせられない〜『アヒルと鴨のコインロッカー』伊坂幸太郎(創元推理文庫)

実は伊坂さんの作品を読むのは初めてである。アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)作者:伊坂 幸太郎発売日: 2012/01/01メディア: Kindle版本当に全くどんな作家さんかを知らず読んでみたが、『アヒルと鴨のコインロッカー』はとても爽やかなミステリだ…

第163回芥川賞④ 番外編Ⅲ直木賞受賞作予想 『雲を紡ぐ』伊吹有喜(文藝春秋)

伊吹さんの作品は本当に優しい。雲を紡ぐ作者:有喜, 伊吹発売日: 2020/01/23メディア: 単行本主人公の美緒はいじめに遭っている高校生。母は娘に対し意固地に学校へ行けと自分の意見を押し付けるばかりで、ついに美緒は盛岡にある父方の祖父のもとへと家出す…

第163回芥川賞③ 番外編Ⅱ直木賞受賞作予想 『少年と犬』馳星周(文藝春秋)

直木賞受賞作予想2作目。馳さんは5年ぶり7度目の候補入りとなった直木賞界隈イチのベテランだ。 デビュー作『不夜城』が直木賞の候補に挙げられたのは24年前のことであり、同じタイミングで現在選考委員を務める宮部みゆきさんも候補に挙げられ落選している…

第163回芥川賞② 番外編Ⅰ直木賞受賞作予想 澤田瞳子『能楽ものがたり 稚児桜』(淡交社)

※本文章はネタバレを多分に含みます。 今回は直木賞の候補作をしっかり読み込んでみたいと思う。淡交社という茶道関係の書籍を扱う出版社の本が候補入りしたことは世間を驚かせた。私も驚いた。作者の澤田さんは候補歴4回目なので直木賞としてももうベテラン…