象の鼻-麒麟の首筋.com

文学者になりきれず周縁部でおまつりさわぎをするの巻

第159回芥川賞⑰ 番外編Ⅲ 直木賞受賞作予想決定版 『じっと手を見る』窪美澄(幻冬舎刊) 『未来』湊かなえ(双葉社刊)

室温摂氏36度、2週間前に買った和風ツナマヨのおにぎりを発見して小さく悲鳴を上げる。どれだけ疲れていても食べ物の類は絶対に粗末に扱わないことを固く誓った夏の夕方。

いよいよ芥川賞直木賞の発表が近づいてきた。すでに選考会は始まっているはずだ。ドラゴン村上のいない、平和でちょっとだけ寂しい選考会が。

このあと18時からはニコ生が始まる。開場は17:50なのでアリーナに入りたい人はPC前に早めに集結だ!

 

芥川賞の方は完璧だが、結局直木賞の候補作は2作余してしまった。『宇喜多の楽土』と『傍流の記者』だ。どちらも男性作家の手によるもの。宇喜多は前評判も高く前作も評価する声が多かったのでぜひ読もうと思っていたのだが、せっかくなら捨て嫁から、というミーハー心が邪魔をして手つかずのまま今日を迎えた。本城さんは私の直木賞センサーがどうにも反応しないので後回しにしていたらこんなことになってしまった。ごめんなさい。

 

さて釈明はここまで。もう時間もないので読んだ2作について取り上げ、ついでに直木賞の受賞作予想をまとめる。

 

窪美澄さんの『じっと手を見る』は連作形式で、登場人物が同じなので長編として読むことが出来るが、やはり作品ごとの出来不出来にムラが見られ直木賞においては不利だという印象を持った。

じっと手を見る

じっと手を見る

 

私が最も高く評価したのは「水曜の夜のサバラン」である。親子モノに弱いのだ私は。

人間が互いに甘えて寄りかかる鬱陶しさが通底して描かれており、それでいて後味は悪くないのだからうまい。しかしうまいだけでは直木賞として推すには心許ない。滋味深い人間の機微を見せるにしては記述が控えめすぎて物足りない。何言ってるのか私自身わからなくなってきたが、直木賞の選考委員ぽいコメントではないだろうか。まとめると、受賞作には一味足りないというのが私の意見。

 

次に湊かなえさんの『未来』について。

未来

未来

 

 お話の意地悪加減はさすが湊さんとうならざるを得なかったが、私が一番悲惨な人物だと思った学校の先生真唯子には救いが用意されていたりと、やはりこの作品も徹底度合いが物足りない。

少女の手記という形態で進んでいく本作を読んで、アンネの日記と印象が重なる部分があった。しかしアンネという人物は実在したしアンネの身に降りかかった出来事もすべて事実である。それに比べて『未来』は作り話であり、早坂に苦しめられた章子もいなければ親父に虐げられた亜里沙もいない。お話なんだから、もっとやれ!と私の中の意地悪な部分はずっと騒いでいた。しかしそれでも読者を離さない筆力は圧倒的だった。虐待シーンなど読みながら身をよじってしまった。湊さんの実力はこの作品でも十分に伺うことができるが、この作品での受賞はあまりうれしいことではないかもしれない。

 

受賞作予想

という流れを踏まえて受賞作を予想する。

 

本命:受賞作なし

 

対抗:『ファーストラブ』島本理生文藝春秋

   『破滅の王』上田早夕里(双葉社

 

大穴:『未来』湊かなえ双葉社

 

と言ったところ。湊さんも島本さんも受賞したら「ホッとしました」と答えるだろう。

 

投稿前に17:50を過ぎてしまったが、今日はお祭りを楽しもうぞ。