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文学者になりきれず周縁部でおまつりさわぎをするの巻

第160回芥川賞② 候補作予想「宮水をめぐる便り」二瓶哲也(『すばる』7月号)

159回の候補作が先日発表された。本当に松尾さんが(いまさら)候補に挙げられるとは。そして「藁の王」「泥海」が候補に挙げられないとは。結構驚きの結果だった。

世間が159回芥川賞に盛り上がり始めたところで、パイオニアであるおところの私は半年以上先の160回の話をしようと思う。

 

今回は『すばる』7月号に掲載された二瓶哲也さんの「宮水をめぐる便り」を取り上げる。

すばる2018年7月号

すばる2018年7月号

 

『すばる』はここ数年芥川賞において元気がない。というよりこれまでに同誌掲載作が芥川賞を受賞したのは、三木卓さんの「鶸」(69回)、金原ひとみさんの「蛇にピアス」(130回)、田中慎弥さんの「共喰い」(146回)の3作だけだ。もともと芥川賞には強くない。が、金原さん田中さんは芥川賞の受賞によって社会に大きな影響を与えたので、すばると芥川賞の結びつきは実態以上に強く感じられる。

 二瓶さんは6年前に文學界新人賞を受賞されているが、文学賞的にはその後音沙汰なしである。先に結論を述べると、今作も特に文学賞界隈を賑わせることはないと思う。

新潟の「宮水」という地域にまつわる身辺雑記。便りと言いながら手紙文体というわけでもなく、平凡な日常がただつらつらと書き連ねられる。文章がうまいので心地よく読めるのだが、あまりにも日常を提示されるだけで、読みながらうとうとと眠くなってしまう。ひとつの土地をかこむいろんな人々のありかたがうかがえる、現代のスケッチといったおもむきだった。

読んだからといって何を感じたわけでもなく何かを考えさせられることもなく面白くて読む手が止まらないということもなく(読んでいる途中に2週間空いているのだ)、ただ何も考えずにぼーっと読んでしまうのが正しい態度なのかしら、と思ってしまった。

睡眠薬代わりに枕元へ置いておくのも一興かと思うが、それなら「めがね」という映画を観る方がよっぽど有意義なのでぜひご覧ください。目が覚めて枕元にもたいまさこがいたら驚くよねえ。

めがね

めがね