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文学者になりきれず周縁部でおまつりさわぎをするの巻

第158回芥川賞直木賞結果

 受賞会見もニコ生も観終わったみなさんこんばんは。

 結果としては

芥川賞 石井遊佳百年泥」、若竹千佐子「おらおらでひとりいぐも」

直木賞 門井慶喜銀河鉄道の父』

が受賞した。芥川賞は受賞作なしとかほざいてましたが、ふたをあければ一番まさかの新人賞受賞作2作が受賞しましたね。若竹さんは途中少し眠くなってしまったものの東北弁は心地よく桃子さんの思弁を運んでくれていた。ただこれを言うと純文学を読む訓練をもっと積むしかないと思うのだが、物語が薄いと作品を読み進めるのはひどく辛い作業となってしまう。そのため読み進めやすくなるような工夫や仕掛けをもう少し足してもらえると一読者としては助かるなあと思った。方言で思弁を表現するというのはよりよく表現する技術であって、それ自体は読者の愉しみになるかはわからない。私の好みとしてはもう少しエピソードにエッジを利かせてもよかったのではないかと思う。

 石井さんの方はこれは本当にまさかだった。蛮勇としか表せない前衛的な作品だと思ったが、芥川賞の本質の半分、新人賞と言う側面が強調された結果だろう。両受賞者とも非常にチャーミングな人柄がうかがい知れ、少しはほんの売り上げにつながるのだろうか。

 直木賞は本当にうれしい結果だ。まだ読んでいない方はぜひ『銀河鉄道の父』を読まれることをお勧めする。父と子、家族の在り方、深い愛に浸れます。喪うことを最も恐れながら、誰よりも毅然としていなければならない父親。守るべき者がいるということはどういうことなのか。人として学ぶべきところが本当にたくさんあった。ありがとう。

 藤崎さんは残念ながら逃したが、炎上商法に頼らないという文学振興会の意思の表明だろうか。まあ新人賞2作受賞はなんらかの意図があるのかと疑いたくもなるが。今回は珍しく文藝春秋の作品が一つもなかった。受賞者のキャリアはほとんどないが史上稀にみる高齢受賞だった。いろいろなユニークな回であったが、どこまで話題になりえるのだろうか。

 今回の芥川賞受賞作を読むのなら、受賞作2作と選評が載る来月発売される文藝春秋3月号を買うのがおすすめである。

 直木賞は抄録となるので単行本を買って読むしかない。