象の鼻-麒麟の首筋.com

お便りはこちら→tsunakokanadarai@gmail.com

第162回芥川賞② 候補作予想「デッドライン」千葉雅也(『新潮』9月号)

学者が小説を書くと周りの教授陣から冷遇されるという話を筒井康隆さんの『文学部唯野教授』で読んだ。文学賞の候補に挙がった唯野教授は身バレを恐れて辞退しようとする。しかし最近では学者が文学賞を受けることはそう珍しいことでもない。松浦寿輝さんは…

第162回芥川賞① 候補作予想「如何様(イカサマ)」高山羽根子(『小説トリッパ―』夏号)

第161回の芥川賞直木賞は1作読んだだけで終わってしまった。やっぱりお祭りには参加したいので今回から頑張って読んでみようと思う。とはいってもまたしばらく読めなさそうだけど。

第161回芥川賞① 候補作決定(直木賞も)

今回は1作を除いて全く読んでいないのだが、とにかく候補作を見た感想だけをまとめておく。 芥川賞 今村夏子「むらさきのスカートの女」(『小説トリッパ―』春号) →候補3回目、第157回「星の子」以来2年ぶり 高山羽根子「カム・ギャザー・ラウンド・ピープ…

思春期をちゃんと書く、書きすぎる ~「ラジオラジオラジオ!」加藤千恵 『ラジオラジオラジオ!』(河出文庫)所収~

文藝系統の青春小説をたまに読みたくなる。ちょうど本屋で平積みしていたので加藤千恵さんの『ラジオラジオラジオ!』を手に取った。 ラジオラジオラジオ! (河出文庫) 作者: 加藤千恵 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2019/05/07 メディア: 文庫 この…

鈍麻した感受性を再起動させる小説 ~ヤモリ、カエル、シジミチョウ 江國香織~

年が明けてから「これは!」と目の覚めるような作品に出会えていなかった。ただ時間が過ぎてゆくなかで自分がすり減ってゆくような不思議な焦燥感に身悶えながら手に取ったのが江國香織さんの『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』だった。 ヤモリ、カエル、シジ…

第160回芥川賞㉚ 受賞作決定(直木賞も)

芥川賞 受賞作 上田岳弘 「ニムロッド」 (金盥予想:大穴) 町屋良平 「1R1分34秒」 (金盥予想:本命) 直木賞 真藤順丈 『宝島』(金盥予想:無印) 予想的中率は50%を下回る。作品ごとの方向性にかなりばらつきがあり選考の場でどのような議論があったの…

第160回芥川賞㉙ 受賞作予想確定版(直木賞も)

お祭りに備えて私は早退してきた。 年に二度。お祭りとしてはしょっちゅうやりすぎの感あり。でも回数減ったら悲しいからこのままで。 それでは最終的な受賞予想を発表しよう。今回は本家の結果をシビアに予想する。しかし隠し切れない私の好みがもれいづる…

第160回芥川賞㉘ 番外編Ⅴ 直木賞受賞作予想『ベルリンは晴れているか』深緑野分(筑摩書房)

ベルリンは晴れているか 作者: 深緑野分 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2018/10/26 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る ミステリーとして評価が高い印象だが、むしろミステリーは付加的な要素だった。骨子にはWWⅡやナチスがドイツに遺した…

第160回芥川賞㉗ 受賞作予想「ニムロッド」上田岳弘(『群像』12月号)

今回はできる限り一度読んだ作品も再読して受賞作予想をしようと思う。 tsunadaraikaneko-538.hatenablog.com 再読したところ「こんなに薄い話だったか」という感想を抱いた。知らない世界を垣間見ることができたというところにこの作品の面白さはあったのだ…

第160回芥川賞㉖ 番外編Ⅳ 直木賞受賞作予想『童の神』今村翔吾(角川春樹事務所)

このタイミングで今年の最高傑作に出会えるとは思わなかった 童の神 作者: 今村翔吾 出版社/メーカー: 角川春樹事務所 発売日: 2018/09/28 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る

第160回芥川賞㉕ 受賞作予想「戦場のレビヤタン」砂川文次(『文學界』12月号)

なぜ候補入りしたんだろう 文學界 2018年12月号 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2018/11/07 メディア: 雑誌 この商品を含むブログ (1件) を見る わからないなあ

第160回芥川賞㉔ 受賞作予想「ジャップ・ン・ロール・ヒーロー」鴻池留衣(『新潮』9月号)

なにがなんだかわからなかった 新潮 2018年 09 月号 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2018/08/07 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る 以前読んだときは適当に読み飛ばしてしまってなにがなんだかわからなかった tsunadaraikaneko-538.hatenablog.com…

第160回芥川賞㉓ 受賞作予想「居た場所」高山羽根子(『文藝』冬季号)

やっと読んだ 文芸 2018年 11 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2018/10/06 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る なんだかぞわぞわした

第160回芥川賞㉒ 候補作決定(直木賞も)

きたきたきたきたきた波乱やないかい www.bunshun.co.jp www.bunshun.co.jp とりあえず私の予想と照らし合わせてみる 芥川賞候補作 実際の候補作 ・上田岳弘「ニムロッド」(『群像』12月号)→候補入り3回目(第154回以来) ・鴻池留衣「ジャップ・ン・ロー…

第160回芥川賞㉑ 候補作予想まとめ(直木賞も)

いよいよ明後日、12月17日の午前5時に芥川賞直木賞の候補作が発表される。どんどん寒さは強まるなかのストイックさ。いったい誰のためにこんなに朝早くに発表するんでしょうか。 お知らせが遅くなりましたが、第160回芥川賞・直木賞の候補作は、12月17日(月…

第160回芥川賞⑳ 番外編Ⅵ 直木賞候補作予想『ぎょらん』町田その子(新潮社)

ぎょらん 作者: 町田そのこ 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2018/10/31 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る もったいないオブザイヤー。最後から2番目の章を読み終えた時点ではこれが今回の受賞作だと確信していた。 人が死ぬときに抱く強い想い…

第160回芥川賞⑲ 番外編Ⅴ 直木賞候補作予想『熱帯』森見登美彦(文藝春秋)

今年なんとなく『夜は短し歩けよ乙女』を再読して、やっぱわけわかんないな、面白いなと思っていた森見さん。文章が好きで、意識していないのに「森見さんを意識して文章を書いているんじゃないか」と言われるくらいに染まっていたこともある。ただ読んだ作…

第160回芥川賞⑱ 番外編Ⅳ 直木賞候補作予想『ぼくは朝日』朝倉かすみ(潮出版社)

ぼくは朝日 作者: 朝倉かすみ 出版社/メーカー: 潮出版社 発売日: 2018/11/05 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 朝倉かすみさんの作品を読むのは二度目である。前回読んだのは『てらさふ』でという作品であった。 tsunadaraikaneko-538.hatenabl…

第160回芥川賞⑰ 候補作予想「ニムロッド」上田岳弘、「裏山の凄い猿」舞城王太郎(『群像』12月号)

本当に最近何を読んでも面白い。平和で幸せな人生だが、芥川賞を予想するうえではあまりに日和すぎてしまう。 群像 2018年 12 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/11/07 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る 『群像』12月号は巻頭で上…

第160回芥川賞⑯ 番外編Ⅲ 直木賞候補作予想『波の上のキネマ』増山実(集英社)

今回は番外編、直木賞候補作予想を行う。取りあげるのは増山実さんの『波の上キネマ』。 波の上のキネマ (単行本) 作者: 増山実 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2018/08/24 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 実はこの作品を読み始めたのはまだ…

第160回芥川賞⑮ 候補作予想「図書室」岸政彦(『新潮』12月号)

野間文芸新人賞の受賞作が発表されたのは少し前の出来事。結局芥川賞落ちの3作は野間新でも落ち、ニューフェイスの2作が受賞となった。金子さんの『双子は驢馬に跨がって』は納得の受賞だった。乗代さんの『本物の読書家』は文学論が楽しいとは思ったが、小…

第40回野間文芸新人賞② 受賞作予想『本物の読書家』乗代雄介(講談社)、受賞作予想まとめ

筒井康隆氏の『文学部唯野教授』のように、作中で講義が始まる作品はいくつか知っている。小説を読んだ結果として賢くなることができる。しかし私は別に本を読んで賢くなりたいわけではない。そんな私でも乗代さんの『本物の読書家』は楽しめた。 本物の読書…

第40回野間文芸新人賞① 候補作まとめ、受賞作予想『双子は驢馬に跨がって』金子薫(河出書房新社)

非公募型の純文学系新人賞として有名なものは3つある。芥川龍之介賞、三島由紀夫賞、そして今回取り上げる野間文芸新人賞である。芥川賞は文藝春秋が(本当は日本文学振興会だがややこしいのでここでは措く)、三島賞は新潮社が、野間文芸新人賞は講談社が運…

第160回芥川賞⑭ 候補作予想「わるもん」須賀ケイ(『すばる』11月号)

町屋さんの作品があまりにも深く刺さってきたので、こういう何も語っていない作品は新鮮に感じられた。まあ、つまらないということは隠しようもなかったが。 すばる2018年11月号 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2018/10/06 メディア: 雑誌 この商品を含む…

第160回芥川賞⑬ 候補作予想「1R1分34秒」町屋良平(『新潮』11月号)

期待に胸を膨らませて裏切られないことはあまりない。私は町屋さんの作品に期待しながらも悪い意味で裏切られることを予想していたので、もしかしたら心の底からは期待していなかったのかもしれない。それでも「1R1R34秒」という作品は、私の期待に応えてく…

第160回芥川賞⑫ 候補作予想「はんぷくするもの」日上秀之、「いつか深い穴に落ちるまで」山野辺太郎(『文藝』冬号)

文藝賞は2作受賞となった。実は読んだのは昨日で、読んだ直後は日上さんの「はんぷくするもの」がなかなかいいな、と思っていたのだが、一日経って、それほどだったのかな、と気持ちが揺らいでいる。 文芸 2018年 11 月号 [雑誌] 発売日: 2018/10/06 メディ…

第160回芥川賞⑪ 候補作予想「いかれころ」三国美千子(『新潮』11月号)

今月号は各紙新人賞の結果発表でにぎわっている。北条氏の作品を取りあげた際にも書いたが、昨年度の芥川賞157回158回は通算3作の受賞作が出て、全て文芸誌主催の公募型新人賞の受賞作であったという豊作(あるいは不作)であったのだ。流れと言うのは案外無…

第160回芥川賞⑩ 候補作予想「鳥居」石田千、「私のたしかな娘」坂上秋成(『文學界』10月号)

やっぱり文學界、いい作品が多いなあ。五大文芸誌の中では私は『文藝』と『文學界』がお気に入りである。新人賞では文藝賞がいちばんかな。すばるも面白いのがたまにあるけど、全般的な傾向としては文藝賞のほうが好き。文學界は新人賞になるとどうしてあん…

第160回芥川賞⑨ 候補作予想「ジャップ・ン・ロール・ヒーロー」鴻池留衣(『新潮』9月号)

ひと月ほど前に一度手に取っていたのだが、あまりに読み進めることが苦痛で放り投げてしまったこの作品。下記の冒頭部分はそのときに書いたもので、この夏私はスーパー銭湯にはまっていた。わざわざ新幹線に乗る距離のスーパー銭湯にも行ったりした(もちろ…

第160回芥川賞⑧ 番外編Ⅱ 直木賞候補作予想『夏空白花』須賀しのぶ(ポプラ社)

新聞記事を使ったチラシ、専用ツイッターなど出版社の力の入れようが伺えるこの作品。戦後、学生野球の復活に奔走する新聞社員の姿というのは直感で「読みたい!」と思ったものだった。直感は外れた。 夏空白花 作者: 須賀しのぶ 出版社/メーカー: ポプラ社 …